ずいぶんサボっておりました。
叱咤激励、ありがとう。反省。
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近況です。
2月5~16日、妻美和のふるさと沖縄に帰省。誕生日割引で一人片道13000円。
美和はひとりでたまに帰っていたけれど、おれはといえば、旅学5号「無人島漂流記」以来の沖縄行。つまり2年と少々ぶり。そんな不肖の息子を沖縄の家族は(87のばあちゃん含め)変わらず元気で迎えてくれた。
滞在中の最高気温25度。道行く車はほとんど窓を閉め切ってクーラーをかけ、日中は街ゆく人の多くがTシャツ。近くのスーパーで680円のおしゃれな短パンを購入し、実家の犬を連れてビーチを散歩するのがおれの唯一の日課なのだった。
夜なんかも、沖縄の人は寒い寒いというのだけれど、雪国で生まれ育ったおいらはTシャツで十分。暖冬とは言え2月、沖縄おそるべし。
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がしかし、ある朝、目覚めたら発熱で動けず。39.5度。病院に運ばれ、解熱剤を飲んで簡易ベッドで点滴しながら2時間寝たら、けろっと熱が下がった。
現代医学おそるべし。
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翌日、美和の友達から借りたクルマに寝袋を積んで、二人で放浪の旅に出た。病み上がりのおれは助手席。
クルマはスズキの軽自動車で、その名も「Kei」。軽自動車にKeiと名づけるスズキのセンスもどーかと思うが、走行11万キロオーバーにもちょっとびっくり。トウキョウというかニッポンでは、10万キロオーバーのクルマなんてまず見ない。しかしここ沖縄では、当たり前らしい。
美和の兄貴によれば「10万キロ走った車なんてぜんぜん珍しくない。沖縄は中古車王国」。そういえばやたらと中古車屋を見かける。
飛行機でひとっとびだから忘れがちだけど、沖縄は絶海の孤島だ。地図で見てみればよく分かる。だからこの島に運ばれた車はすべからく、この島で寿命をまっとうするワケだ。
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南海の孤島。
海岸沿いを走る国道に照りつける陽差しはまさしく夏のそれで、開け放ったスズキの窓から大声で叫びたい気分だった。道端の古ぼけた共同売店でラムネと島ぞうり=ビーサンを買ってビーチを歩くと、そこはまさに楽園のようだった。
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離島にわたって港の公園に車を止め、ここで寝ようということになった。
はじめのうちは「それってどうなの」といぶかしがっていた美和も、バーナーでお湯を沸かして入れたインスタントの泡立つカプチーノをすすりながら暮れゆく海を眺めていると、まんざらでもない様子。満天の星に埋め尽くされた夜空の下にぽつんとたたずむKeiは意外にも愛らしいのだった。
フロントのシートはフルリクライニングするとほぼフラットになって、狭い室内にもかかわらず二人で寝るにも不自由はない。狭いながらも楽しい我が家。優秀な日本車万歳。
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翌日はやんばる(島北部の田舎地域)に住む友人宅へ。
尚ちゃん=森岡尚子は東京生まれで、アフリカを放浪したのち農業に目覚め、アジア各地を歩いた後に帰国、沖縄に移住。自給自足を目指して暮らしている。
写真もすごく上手い尚ちゃんは、雑誌「旅学」で島の暮らしを連載し、昨年9月にTBSの情熱大陸という番組でも取り上げられた。ひょっとして見た人もいるんじゃなかろうか。http://www.mbs.jp/jounetsu/2006/09_03.shtml
石垣で電気もない暮らしを6年、同じ志の旦那と結婚し娘をひとり作って、田んぼを求めて本島に渡り、旦那が見るに見かねて手を貸してくれた大工さんと建てた家に住む。
自給自足。それはエコロジーとかスローライフとかロハスなんていう言葉と一緒になって、そんな世界に漠然とあこがれる風潮が現代社会にはあるようだ。
しかし本気でそれを目指す尚ちゃん夫妻の暮らしは実際スローでもなんでもなく、農作業や家事で時間が足りない、(本人曰く)ファストライフなのだった。
都会に居がちのエコロジストとやらがおれはどうにも苦手で、しかし初めて会った旦那と意気投合して、縁側で星がこぼれ落ちそうな夜空を見ながら長いこと話をした。
4歳になる娘の和鼓ちゃんは、お土産に持っていったりんごを包丁を持ち出してざくざくと皮をむき始め、その姿を見ながら尚ちゃんは言う。
「見てると怖い。でも怪我すれば覚えるから。目を背けて、泣いたら初めて見る。そんな感じ」。
病院が嫌いな尚ちゃんは、石垣島の電気もないコンテナハウスで和鼓ちゃんを生んだ。産婆さんもおらず、自分で生もうと産科に電話して「へその緒の切り方を教えてください、って聞いた」のだという。「出産4週間前に偶然産婆さんと知り合って、取り上げてもらった」と屈託なく笑う尚ちゃんなのだった。
タームという沖縄特産の芋を揚げた茶菓子、庭のハーブを干したお茶。トマトソースのパスタには庭から積んできた葉がたっぷりと。電気の通っても冷蔵庫がない尚ちゃんの暮らしでは、庭が貯蔵庫の役目も果たしているわけだ。色とりどりの野菜が液体に浸かったビンがたくさん並ぶ、土間のキッチン。素朴で、あったかい風景。尚ちゃんはなにごとにもセンスがいい人だから、とても素敵に暮らしている。過酷な自給自足をすべてひっくるめて楽しんでしまう彼女は、強い人なのだなあ。そう思った。
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電灯もトイレもない暮らし、それはイメージすることも難しい。でも冷蔵庫がない情況なら想像してみることはできそうだ。
アイスクリームや冷凍食品はいうに及ばず、牛乳や卵やバターや野菜は常温でどれくらい持つのだろう。そうか、氷もないし、冷えた飲み物を飲むことはできないわけか。そういえば森岡家の旦那は一升瓶の泡盛を茶碗に注いでストレートで飲みながら、「氷なんてこのへんじゃ贅沢さぁ」と言っていたっけ。
雑誌やテレビやラジオが言うところの「スローライフ」は、結局のところ、お金を払って購入する癒しなんだろう。エルメスやヴィトンを買うように、時間限定のスローライフを手に入れる。
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一歩一歩足を踏み出しながら、自分がしたい暮らしに確実に近づいている尚ちゃんの暮らしから、たくさんの強いインスパイアを受け取った。自分がしたい暮らしを明確に描き、まっすぐ真剣にそこを見つめて進んでいこう。そう思ったら肩の力がすっと抜けた。
癒しの島沖縄、おそるべし。
ようやく沖縄という島の入り口に立った僕は、これから長い時間をかけて、この島と付き合っていける。いつかここに住みたいなぁ、そのときは軽トラとチョッパーがあれば十分だな。そんな思いが募る小さな旅だった。
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H-D沖縄にも顔を出して「路上へ」を2冊献本。紅一点の松田さんの笑顔が変わらず素敵で、うれしかった。
スズキを貸してくれたひんみちゃん、ありがとう。またよろしく。
尚ちゃん、おなかにいる二人目の子も元気に産んでね。
ようし夏にまた行くゼ。